昨年9月に約10日間かけて、妻共々標記研修旅行に参加して、北京オリンピック間近の中国を垣間見てきました。
主な訪問先は、北京郊外の万里の長城(八達嶺)から始まって、ほぼ日程順に山西省大同の雲崗石窟、五台山(菩薩頂、顕通寺、塔院寺、羅寺、金閣寺、竹林寺等)、太原郊外の玄中寺、平遥古城、陝西省西安の兵馬俑坑、大慈恩寺、香積寺、草堂寺、更に北京に戻って周口店の北京原人遺跡、房山雲居寺などでいた。
寺院だけでも約20ヶ所を訪れました。私個人としては、1985年にようやく外国人の立ち入りが許可されたという五台山に特に関心がありました。なかでも平安時代に日本人として五台山に足跡を印した四人の僧侶、霊仙三蔵、円仁、然、成尋らに興味をもっていました。ですから五台山の金閣寺の境内(といってもなぜか塀の外のようなところでしたが)で霊仙三蔵を顕彰する古い石碑を見たときは、大変感激しました。
五台山については事前に下調べもしていたのですが、実際に訪れた印象はそのときの写真などのイメージとは全く違って瀟洒なホテルなども多く、どこが日本の軽井沢あたりを彷彿とさせるような一大リゾートといった感じでした。
また今回のツアーの最大の目的でもあった浄土教の祖庭玄中寺訪問の際は、山西省仏教協会の重鎮でもある住持の釈悟証師から、記念に同窓会宛ての揮毫をしていただきました。
仏教の関係で言えば、そのほか数多く訪れた寺院はどこもきちんと整備され、危惧していた文化大革命の後遺症はほとんど見受けられませんでした。
また経済や社会の関係では、大同付近で見た、地元で産出する石炭の天津に向けてのトレーラーや貨物列車によるものすごい量の輸送、暗くなっても燃料節約のためヘッドライトを点けずに走る車、商店や民家などの徹底した電気の節約、車窓に広がる玉蜀黍(とうもろこし)の植わった赤茶色の黄土高原、まっすぐに延びた高速道路と両脇に植えられたポプラ並木、都市部のいたるところで行われているビルや道路の建設工事、合弁企業による現地生産のため、日本では高価なヨーロッパ車のブランド車が多かったこと(日本車は思ったより少ない)等々が特に印象に残りました。
同時にマスコミなどでも、しきりに報道される都市部と農村部の経済格差(あるいは富裕層と貧困層の格差)といった、現在の中国が抱える大きな課題もいたるところで実感しました。
帰国間際、北京でオリンピックのメイン会場とその周辺を遠望しました。今から40年以上前の東京オリンピックの際、最初の大学生時代を東京で過ごしていた私は、その前後の目覚ましい首都の変貌ぶりを体験・記憶していますが、日本のそうした時代を開放後の中国が、今辿(たど)っているように思われてなりませんでした。 |