「菩提樹の学び舎」
この度、石橋義秀前会長の後任として就任することになりました佐賀枝夏文です。浅学菲才の私に相応しいとは思えないのですが、母校大谷大学を「こころのふるさと」とする同窓生のひとりとしてお引き受けいたしました。同窓会長としてご尽力いただいた佐々木教悟先生、藤島建樹先生、石橋義秀先生に篤く御礼申しあげ、その功績を汚さないように歩む所存です。同窓会員のみなさまが年代を越えて「絆」がつながり、そして、力強い「絆」の広がりの「かなめ」としての同窓会活動が行われますことを願い、微力ですが尽力して参りたいと考えております。どうぞ、皆様方のご協力を是非ともお願いいたします。
わたしたちの母校大谷大学の烏丸通の正門にある「知進守退」の石碑、その傍で寄り添うように古木菩提樹があります。この菩提樹は学園整備で植え替えられて現在地に落ち着いたと聞いております。古木菩提樹から母校の確かな歩みを感じます。インド菩提樹は日本の気候では生育できにくいので、インド菩提樹ではないようです。菩提樹に心を寄せるきっかけは、心理カウンセラーへの道筋で、ドイツで考案された「バウムテスト(樹木画テスト)」との出会いからです。森の国ドイツでは「人生に悩んだら、森に入り樹木に尋ねてきなさい」という言い伝えがあり、バウムテストとして考案されたと聞いています。バウムテストは実施が簡便なこととテストらしくないことで関心を持つようになりました。はじめは解析と解釈に関心を持っていたのですが、次第に樹木そのものに興味関心をもつようになりました。それは、お釈迦さま由来の無憂樹、菩提樹、沙羅樹の仏教三聖木を知り、興味と関心を深く持つようになりました。谷大の菩提樹は新緑のころ芽吹き実を付けます。その実はお念珠にはやや小さいのですが、腕輪念珠にしました。この菩提樹の実生樹をキャンパスに探したことがあります。心に残っているのは旧図書館の中庭のコンクリートのすき間に生えた幼木がありました。苦境に実生した幼木に人生を重ねてみました。秋も深まると枯れた葉っぱが実を抱えて大地に布置されます。実生し双葉をつけるのもありますが、なかなか樹木にはなりません。一本の樹木が誕生することの意味と、人間の誕生の意義を重ねました。冬枯れの菩提樹を見て、葉っぱでおおわれているとわからなかった姿に出会いました。折れた枝、傷ついた幹と風雪に耐えた姿をみせてくれます。菩提樹が「生きることは、さまざまなことに出会い無傷では生きれない」と語りかけているようです。
碑文の「知進守退」、そして菩提樹の学び舎で、恩師、朋友との出会いは、わたしたち同窓生の生涯の礎であり、生涯の拠り所「こころのふるさと」です。
母校大谷大学の発展を願い、同窓生の誇りを大切に共に歩みましょう。
知進守退が刻まれた碑文と菩提樹(奥)