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No.109(1998/3) 夜明け前 |
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私は本紙に絵を描き始めると、もう次の絵のことに気持ちが移り始めている。何事も始める前の方が緊張感があり、可能性をふくらませるようだ。そんな思いをインドの少女に託して描いた。インドの滞在は1974年から通算4年になる。日本では雨季でもない限り、空の変化はない。冬のインドの朝・夕は、刻一刻と変化する空の表情が美しい。夜明け前から空が変化してゆき、太陽が空に昇るまでのわずかな時間の色の変化にいつも感動を覚え、目が釘づけになってしまう。360度地平線の見えるインドの空は面白い。 |
畠中光享(1970年文学部卒)
日本画家・大谷大学非常勤講師 |
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