大谷大学同窓会 無盡燈
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無盡燈ギャラリー・畠中光享の世界

No.120(2003/9) 水
No.120
 インドでは水売りがいて、そのころ、水が売れるということを不思議に思っていた。井戸水や水道水を飲むのが普通一般的であり、日本人の誰もが水を買うとは思っていなかった。しかし今はコンビニにも水のペットボトルが並ぶ時代となった。インドでも水売り屋が減り、ペットボトルのミネラルウォーターが一般的となった。
  京都の夏の水道水は琵琶湖のバクテリアの発生のせいで生臭くなる。それでも何故かもったいない気がして水を買うことはほとんどない。水を汚さないように心をかけないと、いずれ飲み水として普通に使用できない時代がくる。インドの季節の3分の2以上は乾期であり、雨期前の5、6月は猛烈に乾燥していて水不足になる。仏典にも水をめぐる争いのことや飲み水のことなど、水に関することがよく書かれている。水がなければ人や動植物は生きていけないし、また大水で災害も引き起こす。大雨の時は5分で洪水になる。まさに滝のような雨が降るときがある。ヒンドゥでは創造の神より破壊の神の方が重要視されてきた。洪水で田畑が流された後に陽が照り新しく芽吹くところから、破壊がなければ創造が生まれないということがわかる。またヒンドゥ教では水や火の儀礼を行い、それによって浄めようとするが、釈尊は明解にそのことを否定されておられる。「水で浄められるものであれば魚が一番浄いはずではないか」と。バラモンの祭式が感覚的な喜びのみを目的とすることに対し、論理的であらゆる執着を離れた釈尊の教えから学ばねばならない。
畠中光享(1970年文学部卒)
日本画家・大谷大学非常勤講師
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