烏丸通りは地下鉄が走り、北大路バスターミナルは大学の目と鼻の先にあり、大谷大学は現在では最も交通のアクセスの良い京都の大学の立地条件を満たしている。
そして、大学の周囲は美しい環境であることになによりも魅力がある。キャンパスの屋上にあがれば夏の五山の送り火もほとんどが一望できる。水清き賀茂川が近く、府立植物園もすぐ近くにある。広大な植物園は200円と入園料が今も安く、四季折々の美しい花木が見られていつ行っても楽しい。梅や桜、薔薇、花菖蒲に蓮や朝顔、菊に椿がかなりの数で次々と花開く。花は見るだけでなく下手でもよいから自分で写生をすると新しい発見があることが多い。写生は構えないでスナップ写生をとるような気持ちで軽く始めたら楽しいのにと思う。
大学の南側、紫明通りの木々は大きく成長している。以前そこは疎水が流れており、その上を埋め立てて植えられた木々は今や大樹となった。烏丸通りから賀茂川に突き当たるまでの紫明通りの銀杏は、京都でも有数の黄金色の美しさを見せてくれる。出雲路橋から上賀茂橋に至る賀茂川西の欅の並木も美しい。私は学生の頃、西賀茂の尼寺に下宿をしていて自転車で加茂街道を走っていたが、どの季節もその欅の並木が見せる表情が大好きだった。特に春が来て裸木から枝先が紫がかり、やがて新緑の葉を見る春の頃が最も美しく感じた。
このような美しい環境にある大谷大学の学生は幸せである。この美しさを美しい、有難い、と感じなければその人にとって何の益もない。学問は部屋に篭るだけではない。自然と共に学び、問うていかなければ、人生の喜び豊かではない。 |