大谷大学同窓会 無盡燈
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無盡燈ギャラリー・畠中光享の世界

No.132(2009/9) 「青天」
No.132
 青空に扇状の葉をつけて黄金色に輝く銀杏(公孫樹)。銀杏は恐竜が闊歩する中生代から繁殖し、我国では室町時代より全国各地で植樹されてきたが、東北地方、特に青森には巨木が多い。
  銀杏は街路樹や寺院に多く見られる。大阪の御堂筋の銀杏は東・西本願寺の別院御堂からのシンボルであり、京都の街路樹も銀杏が使われているところが多い。しかし落葉による日々の掃除と、滑って転倒することの予防で、京都市は美しい黄葉前に枝を切り落として、あまりにも風情がなく、街路樹としての美意識に欠ける。黄葉の美しさと落葉する命の無常を見ることも大切である。銀杏の木には水分が多く、火災から守るためにも寺院によく植えられてきた。一七八八年の京都での天明の大火の折には西本願寺の大銀杏から水が噴き出て御影堂の類焼を免れたと伝えられている。
 銀杏とはさまざまな出合いやイメージが強いが、私にとって何より脳裡に浮かんでくるのは本山の報恩講である。蓮噴水の左右の飛地には多くの銀杏が黄葉していて快晴日の霜月の報恩講とが視覚的に一体化している。今年の初夏に巡拝した小島の草庵跡の銀杏も黄葉時にはぜひとも訪ねたいところだ。小島の草庵は聖人が越後から常陸に入られた際、初めて草庵を結ばれた処とされている。
 今回の表紙絵は大谷大学の銀杏である。元グラウンドの烏丸通沿いにはヒマラヤ杉と共に何本も並んでいる。中でも一番南側の銀杏は天に向かってのびる黄色い炎のような形であったが、今は教育・心理という新学科増設に伴い、大きく枝打ちされ形が変わってしまった。古い私達にとっては世界一の仏教を学ぶ大学でありたいと願うのは、反時代性なのだろうか。銀杏には雌雄があるが、元グラウンドの銀杏は雌の結実する木が多い。小さいぎんなんだが、地面にびっしりと落ちる。拾って食したこともあるが、他に拾っている人は見かけない。また、その実から発芽しているのを見かけたことがない。葉は民間療法で糖尿病や夜尿症、咳・痰切りに効くという。
畠中光享(1970年文学部卒)
日本画家・大谷大学非常勤講師
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