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無盡燈ギャラリー・畠中光享の世界

No.134(2010/9) 「花もてゆく」
No.134
 蓮は仏像が生まれる以前、釈尊の誕生の象徴としてインドでは数多く浮彫りされてきました。私はずっとインド細密画を調査、研究してきましたが、細密画の描かれていた場所でラジャスタン州のブンディ城下の湖面を覆う蓮や、ヒマラヤ丘陵地帯の辺鄙で荒廃したバソリ城下の蓮池が目に焼きついています。バソリでは蓮華を写生するのでと欲しがっているのを感じた村の青年が池に入り、水蛇が泳いでいる中から一枝取ってくれた思い出があります。
 私には夏の花といえば蓮が一番に浮かんできます。毎年観蓮していましても、どれ一つ同じ花はなく、その美しさはいつも新鮮です。古代蓮や白蓮に少しピンクが入っただけの蓮華は特に気品があるように思い、小ぶりで八重の中国蓮の系統はあまり美しいと感じないのは私だけでしょうか。蓮は二日間咲き三日目には生気なく、そして散ってゆきます。立華は仏前を荘厳(しょうごん)するものとして生まれました。華道「池坊」も六角堂頂法寺の住職として本尊の観音様を荘厳する花として生まれました。どんなに美しい花もまもなく散り、枯れていくという仏教の説く無常を感得するために立華されます。そういう意味で模造花で荘厳することは大きな間違いです。蓮は水揚げが悪く蕾を生けても花器の中で開花することはありません。そのためタイなど東南アジアの仏教国では蓮の蕾の花弁を人為的に開いて開花したように見せ、寺院の門前や市場で売られています。山のように盛られたそのような蓮華を見ると心がときめきます。インドでは形の良い、蓮や睡蓮を用い、香りの良さでジャスミンの花輪で供華します。
 日本では仏教儀礼の折に紙でつくった蓮で散華をしますが、明治以前に紙でつくられた散華は見たことがありません。いっときの季節しか開花することのない日本では、常緑の椿の葉が蓮の花びらの形に似ていてよく散華に使われていました。東大寺二月堂のお水取りの際に紅白の紙でつくった椿を供えるのも椿の葉との関連があります。
 「花もてゆく」仏への捧華、人への供養そのような気持ちで描きました。
畠中光享(1970年文学部卒)
日本画家・大谷大学非常勤講師
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