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同窓通信

No.146(2021年)

人生に彩(いろどり)を
楠 喜依
(シアー株式会社)

 在学中、放送局(サークル)に所属していた私は、毎年紫明祭の時にサンクンガーデンのステージで司会をしていた。恩師がステージ前を通り「あれ?先生、紫明祭中もお仕事ですか?」「今日はホームカミングデーなんよ」という会話をした事を記憶している。

 卒業後、私が司会者としてホームカミングデーに参加し、恩師に再会できる日が来るとは思ってもいなかった。ましてこの日が私の人生を大きく変えることになるとは夢にも思っていなかった。

 高校時代から「話すことを仕事にしたい」と思っていたものの、心のどこかで自分には無理だろうと諦めていた。アナウンススクールに通ったり、勿論アナウンサー試験も受けること無く一般企業へ就職した。卒業後すぐ関東で一人暮らしをし、同期にも恵まれ毎日がキラキラしていた。これはこれで自分の選んだ道を歩もう!と気持ちを切り替えることができた。しかし、年次を重ねるごとに「なぜあの時、努力しなかったのか、チャレンジすらしなかったのか」と、後悔ばかりが募るようになっていた。

 ホームカミングデーの司会が終わった時「やっぱり、話すことが好き。もう1回チャレンジしたい!」と思い立った。今、挑戦しないとまた10年後、20年後、大きな後悔が襲ってくる気がしてならなかった。

 その後、アナウンススクールや専門学校で発声やアクセントなど基礎から勉強をやり直した。とにかく、無我夢中で前のめり、第二の青春だった。

 縁あってオーディションに合格し、現在、ラジオのコミュニティ放送でお喋りをしたり、話し方教室で朗読や発声など指導したりもしている。日々、勉強だ。

 文章にすると美談のようだが、セカンドキャリア挑戦中も、現在においても、現実はなかなか大変だ。しかし、年齢を言い訳にせず、挑戦して良かった。オーディションに合格したこと以上に、挑戦したことが、自分の人生の幸福度に繋がった。

 またホームカミングデーで恩師や同級生に再会出来る日を心待ちにしている。

(2008年度文学部文学科卒)

ホームカミングデーにて学生時代お世話になった先生と(本人右)
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