無盡燈/尋源館
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現役教員からのお便り

No.146(2021年)

コロナと過ごした1年
大谷大学教授(社会学) 髙井 康弘

 皆さん、いかがお過ごしですか?私のほうは定年まであとわずかとなりました。気が付けば周囲のほとんどの人は私より年下になり、ちょっと今浦島になった気にもなるものです。S、M、K、O…うるさ型の、しかし頼りになった年輩の先生方をキャンパスでおみかけする機会も減り、…、ということで、自身の研究をまとめつつ、研究室の後片付けをしながら、しみじみと過ごそうと思っておりました。ところが思いがけなく、またまた執行部に入ることになり、加えて、新型コロナウィルスが跋扈する事態となり、2020年度は当初考えていたのとは異なる展開になりました。大学はさまざまな人々が出会い、交流する場。そんな当たり前に思っていたことをどう継続していくか、今まで当然のようにやってきた教育研究活動や諸行事をどうしていけばよいのか。外気を通した会議室でマスク面の教員と事務方が、日々モグラたたきの如く、対策に試行錯誤。WEB授業、課外活動の自粛などを打ち出さざるをえませんでした。新設社会学部も3年目を迎え、学外でのフィールドワーク授業が本格的に展開するはずだっただけに、本来の企画を実行できないのは残念でした。でも、特に後期は大学として安全対策を整え、大半の先生方が授業を対面で開始されました。学生たちは感染予防に気を付けながら、今までより楽しそうに友だちと交流している様子でした。学食利用制限下、お弁当を持ち寄ってキャンパスのあちこちで、車座や横並びになって食べている学生たちをみて、なかなかやるなと思いました。卒論追い込み期、メール添付ファイルでの添削は、ゼミ生がオンラインに慣れたせいか、例年より円滑にできました。執行部室のある博綜館4階のベランダからは体育館越しに比叡山の山容が望めます。ベランダ床には、楓のタネが結構溜まっています。羽が付いているので、放つとくるくる舞って、時に意外に遠くまで飛んでいきます。タイやラオスには当面渡航できそうもないので、こんなことをして気分転換しています。


世界と「つながる」可能性
大谷大学准教授(英文学) 三浦 誉史加

 コロナ禍に見舞われた2020年度、前期は初めて経験するオンライン授業に、試行錯誤を繰り返しました。海外との往来が閉ざされたことに、もどかしさを覚える日々でした。その一方で、イギリス文化ゼミでは、イギリスに在住する小学校の先生にオンラインで英語インタビューを行い、コロナ禍における教育のあり方について、比較文化の観点からの議論が盛り上がりました。いながらにして海外の人々とつながる楽しさを知ることができ、オンラインの新たな可能性を感じました。

 後期には対面授業が再開。パソコンの画面というフィルターを外して学生さんの笑顔を直接目にできる喜びは何物にも代えがたく、空間を共有し、微細な表情の変化やしぐさなど、体全体でキャッチする情報が、コミュニケーションにいかに重要であるかに気づかされました。

 明けない夜はなく、必ず克服されるであろう現在の状況。コロナ終息後にも活かせる新たなツールを獲得し、教育において大事なことは何かという問いに向き合い、学びを得た一年でした。

 2021年度より、文学部国際文化学科は国際学部となり、身の回りの国際化に対応できる人、多文化共生社会を作る人を育てることを目指します。海外に加えて京都も学びの場とするフィールドワークを取り入れると共に、新設科目の一つである「グローカル・キャリア論」では、海外の会社とオンラインでやり取りを行う授業が予定されています。コロナ禍で気づいた対面とオンラインの双方の良さを駆使して、世界の人々とつながる学びを深めていきたいと思います。

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