無盡燈/尋源館
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現役教員からのお便り

No.147(2022年)

AIが仕事を奪う?!
大谷大学教授 山本 貴子

 今から5・6年前頃からだったか「AIが仕事を奪う」や「なくなる仕事・なくならない仕事」などの記事が見られるようになってきた。記事によれば、「**という仕事はなくなった」とか「**に置き換わった」と書かれたりしている。
 ある程度、年を重ねたひとには「ああ、またか」といった具合だろうが、若い人にとっては「その通りだ」と納得したり、「これからどうなるのだろう」と不安になったりと、心がざわつく内容ではないかと思う。
 確かに不安に駆られるのは致し方ないことではあるのだが、一方で年長者が「ああ、またか」と思うのも、それなりの理由がある。
 有名なところでは、19世紀のイギリスで、繊維工業関連の職業に就いていた労働者たちが、産業革命によって生まれた機械を導入することで失業すると考えて、機械を破壊したラッダイト運動というのがあった。(それ以前にも同様の運動はあったらしいが、これが最大規模とのこと。)
 では、その後、仕事が奪われたり仕事がなくなってしまったりしたのだろうか。もちろん、それまでと同じ仕事がそれまでと同じ人の手で行われるということではなかったかもしれない。でも、仕事のやり方は変化しつつも機械を取り込んだ形でやはり人の手を介して仕事が行われている。もちろん、ラッダイト運動とAI革命(「革命」といってよければ)とを同列に考えることはできないだろうが、やはり「人」は必要なのである。
 ただ、「今までと同じやり方ではまずいこともある」というのは大事なポイントだろう。これだけ変化の激しい時代のなかで自分がやりたい仕事をするためには、それに合った知識や技術を身に付
け続ける必要がある。要するに、一過性の「学び」ではなく、「学び続ける」必要があるということだ。「学び」の内容はやりたいことによって異なるが、とにかく、学び続ける。
 若い人たちには、学び続けて自分の希望する人生を歩んでいってほしいと思っている。


モンゴルから
大谷大学教授 松川 節

 同窓生のみなさん、お元気ですか?私が大谷大学で情報系のゼミを担当して20年以上が経ちました。ゼミテーマは一貫して「文化財のデジタル化」で、みなさんとともに「葵祭」、「祗園祭」、「JINGEN100」、「マルチメディア博物館」、「駅ナカアート」といった様々なプロジェクトに取り組んできたことが懐かしく思い出されます。
 大学での授業と並行してモンゴル史の研究、特に現地調査をモンゴル国や中国で継
続しています。まだ人文情報学科の演習棟3号館がある時期でしたが、現地からSkypeでつないで教室にいるゼミ生にモンゴルの映像を見てもらったのは新鮮な体験でした。それが今は、オンライン授業がコロナ禍の副産物として急速に広まり、授業だけでなく多くの人間関係もネット越しになってしまいましたね。それでも対面に勝るものはないと私自身は思っています。みなさんが気軽に母校を訪れられる日が来るのを心待ちにしています。
 ところで実は今、半年間の在外研究中でモンゴル国に滞在しています。モンゴル国は2022年春から感染が落ち着き、全ての行動規制が解除されました。素晴らしい自然環境の下、ライフワークとしてのモンゴル史・モンゴル仏教史研究の総まとめに取り組んでいます。
 大谷大学では2022年度から社会学部コミュニティデザイン学科に「情報メディアコース」が新たに開設され、地域コミュニティの発展に情報メディアはいかに活用できるかを追究しています。私のゼミでは、マルチメディアを活用して地域の伝統文化を記録する過程で、地域固有の文化とは何かを考えています。こうした教育において、卒業生のみなさんが残した卒業研究・卒業論文・映像作品といった「レガシー」は貴重な存在になっているのです。

調査先の牧民のゲルで
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