無盡燈/尋源館
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No.149(2024/6) 「天災の風景」(部分)

No.149

 今年は元日早々能登半島の大地震、正月気分は一気に吹き飛びました。同級生や親しい友人たちのいる能登。どうしようも出来ない自分に、今もずっと考えています。翌日は羽田の航空機事故。天災には逆らえず、どうしようもありませんが、人災は防げます。釈尊は「よく気をつけ注意しながら生きなさい」と申されています。せめて人災の無いようにしたいものです。
 2月に入ってまたインドへ行ってきました。その前のインド行からまだ3か月も経っていませんでしたが、後がない、今しか無理だと思い、出来るだけのことを済ませてきました。インドは大変な数の車とバイクで、どこも、道を横断することさえも命懸けです。気をつけて行動しないと必ずといってよいほど事故になります。
 世界的に気候も変化し、暖かかったり寒かったり、暑かったり大雨が続いたりと異常な気象となっています。インドの雨季の終わりの頃の雨の降り方は本当に瀧のようで、一日も続けば大洪水となります。高温で多湿なこの時期はカビが一晩で大きく生え、病気も流行しやすくなり、雨安居が必要なことがわかります。
 この度の能登の人々のことを思うといたたまれない気持ちです。せめて被災者の心に寄り添う人間でいたい。「我が身に置き換えて」と思って生きるしかありません。災害はいつ起こるかわかりません。生きさせていただくこと自体が有難いと思い、自分の出来る仕事を怠ることなくやっていくしかありません。仏教徒として、人として考える試練を与えられています。

畠中光享(1970年文学部卒)
日本画家・インド美術研究者


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